大学入試の仕組み

国公立大学の入試制度

国公立大学の入試は「推薦入試」と「AO入試」と「一般入試」があります。

国公立大学というと、特に「一般入試」が当たり前という認識の方も多いとは思いますが、近年では2割弱の入学者が推薦入試を経て国立大学への進学を果たしており、2020年にセンター試験が廃止され2021年には3割程度の入学者を「推薦入試」によって選考するという動きも出ているほどです。

ここでは「推薦入試」「AO入試」「一般入試」の仕組みについて説明していきます。

国公立大学の推薦入試

国公立でも全体の9割の大学で「推薦入試」が行われています

「推薦入試」には主に「指定校制」と「公募制」の2種類があります。

また割合は少ないですが高校の部活動や文化・芸術活動、ボランティア活動などを評価の対象とした「特別推薦」、受験生が自ら能力や特技などをアピールし、その内容を評価してもらう「自己推薦」があります。

「指定校制」

「推薦入試」の「指定校制」とは、大学側が指定した高校に通う生徒を対象に行われるもので、指定された高校の在校生しか受験することはできません。

「公募制」と比べると出願の条件は厳しくなりますが、合格率が高いことが特徴と言えます。

「公募制」

「公募制」は「指定校制」とは異なり、大学が示す出願条件を満たしていればどの高校からも出願が可能です。

出願の主たる条件は学校成績と卒業年次ですが、私立大学と比べると国公立大学は、学校成績の基準が高いのが特徴的です。

国公立大学のAO入試

AO入試は学力だけではなく、受験する生徒の大学・学部への適性、特技や資格、意欲などを総合的に評価する入試制度です。

国公立では4割程度の大学で実施されています。

AO入試では、受験生の高い進学・学習意欲、入学後の学習に対する明確な目的意識が重視されるため書類審査や面接に時間をかけて選考が行われます。

また、センター試験の受験が必要である場合がほとんどです。

推薦入試とAO入試の違い

「推薦入試」と「AO入試」の違いは「学校長の推薦書の有無」です。

推薦入試は自己推薦を除き自分の所属する高校の学校長の推薦が必要になる場合がほとんどです。

しかし、AO入試はそのような学校長の推薦は必要なく自分の高校時代の活動記録や成績の記された調査書を提出することが一般的です

国公立大学の一般入試

国公立大学の一般入試は、一次試験の役割を果たす「センター試験」と大学ごとに実施され二次試験の役割を果たす「個別学力検査」の合計点で選考が行われます。

一般入試スケジュール

センター試験は、毎年1月中旬に実施され、国公立大学受験者は原則受験する必要があります。

試験翌日には、公式サイトや新聞等で解答・配点が公開されるので、自己採点を行い、ボーダーラインと比較した後、志望する大学に願書を提出します。

個別学力検査は2月下旬から「分離・分割方式」という制度で実施されます。

「分離・分割方式」とは1大学・学部(学科)の定員を「前期日程」、「後期日程」の2つの日程に分け、それぞれの日程ごとに選考するシステムです。

一つの大学・学部を2回受験することもできますし、それぞれの日程で異なる大学を受けることもできます。

一部の公立大学で前期・後期日程とは別に「中間日程」で個別学力検査を実施する場合もあります。

これらを併せると最大で3校の国公立大を受験することが可能となります。

ただし、前期日程で受験した大学に合格して入学手続きをすると、中期・後期日程に出願した大学の選考対象からは外れるため、第1志望校は前期日程で受験するのが妥当です。

定員配分も前期日程が大半を占めており、「分離・分割方式」は複数受験できるとはいえ、実際は、前期日程が中心で後期日程は二次募集の役割と言えます

一般入試受験教科・科目

センター試験・二次試験で必要となる教科・科目は大学ごとに異なります。

さらに、大学内でも学部・学科によって、また前期日程と後期日程で異なるケースがほとんどです。

センター試験は6教科30科目あります(下記表参照)。

地歴と公民は選択式で、同一の時間帯で実施されます。

理科は理科①と理科②があり、いくつかのパターンから1つを選択して受験します。

3教科以下で出願可能な大学もありますが、基本的には5教科以上を課しているのが現状です。

特に国立大学については、5(または6)教科7科目の対策が必要と考えるのが妥当でしょう。

なお、国立大学協会は、「大学入学共通テスト」でも5教科6科目を課すことを示しているため、移行後も必要教科・科目については変わらないと言えるでしょう。

英語はリスニングが必須となっています。

リスニングの点数を選考材料とするか否かは大学ごとに異なりますが、国公立大学では98%がリスニングを必須としています。

5(または6)教科7科目

7科目の内訳は大学ごとに異なります。

文系学部では外国語・国語・理科各1科目と数学・地歴公民各2科目の合計5(または6)教科7科目とする大学が多いです。

理系学部では外国語・国語・地歴公民各1科目、数学・理科各2科目の合計5教科7科目とする大学が多いです。

教科出題科目配点試験時間
国語「国語」200点80分
地理歴史「世界史A」1科目
100点
1科目選択 60分
2科目選択 130分
うち解答時間120分
「世界史B」
「日本史A」
「日本史B」
「地理A」
「地理B」
公民「現代社会」  
「倫理」  
「政治・経済」  
「倫理,政治・経済」  
数学「数学Ⅰ」100点60分
「数学Ⅰ・数学A」
「数学Ⅱ」100点60分
「数学Ⅱ・数学B」
「簿記・会計」
「情報関係基礎」
理科「物理基礎」2科目
100点
2科目選択 60分
「化学基礎」
「生物基礎」
「地学基礎」
「物理」1科目
100点
1科目選択 60分
2科目選択 130分
うち解答時間120分
「化学」
「生物」
「地学」
外国語「英語」200点80分
「ドイツ語」
「フランス語」
「中国語」
「韓国語」
「英語リスニング」50点60分
うち解答時間30分

私立大学の入試制度

私立大学の入試は「推薦入試」と「AO入試」と「一般入試」があります。

近年では入学者の4割が推薦入試を経て私立大学への進学を果たしており、その利用を考慮しない手はないと言えるほどです。

ここでは「推薦入試」「AO入試」「一般入試」の仕組みについて説明していきます。

私立大学の推薦入試

私立では全体の9割以上の大学で「推薦入試」が行われています

「推薦入試」には主に「指定校制」と「公募制」の2種類があります。

また割合は少ないですが高校の部活動や文化・芸術活動、ボランティア活動などを評価の対象とした「特別推薦」、受験生自身が自らアピールした能力・意欲・特技を評価してもらう「自己推薦」があります。

指定校制

「推薦入試」の「指定校制」とは、大学側が指定した高校に通う生徒を対象に行われるもので、指定された高校の在校生しか受験することはできません。

「公募制」と比較すると出願の条件は厳しくなりますが、合格率が高いことが特徴と言えます。

なお、私立大学推薦入試における「指定校制」いわゆる指定校推薦はほぼ100%合格することができます。

公募制

「公募制」は「指定校制」とは異なり、大学が提示する条件を満たしていればどの高校からも出願が可能な推薦制度です。

出願の主たる条件は学校成績(評定平均)と卒業年次ですが、国公立大学と比較すると私立大学は、学校成績(評定平均)の基準がやや低めなのが特徴的です。

私立大学のAO入試

AO入試は学力だけではなく、受験生の大学・学部への適性や特技、資格、学習意欲などを総合的に評価する入試制度です。

ほぼすべての私立大学で実施されています。

AO入試では受験生の高い学習意欲、学びへの明確な目的意識が重視されるため書類審査や面接(面談)に時間をかけて審査・選考が行われます。

国公立同様センター試験の受験が必要な場合が増えてきています。

私立大学の一般入試

私立大学の一般入試は1月下旬から2月中旬に行われます。

私立大学一般入試は、試験日が重ならない限り何校でも併願可能です。

全ての大学で統一の日程が設けられているわけではなく、何校でも受験できます。

また、同じ学部・学科でも複数の入試方式があり、ほとんどの場合が併願可能です。

私立大学では国公立大学とは異なり、一般入試にも大きく分けて「一般入試(個別」と「センター試験利用(単独)」と「センター試験利用(併用)」の3つがあります。

一般入試(個別)

一般入試(単独)というのは、学力検査のみを評価する受験方法です。

基本的には国語・数学・英語など主要科目のです。

後述するセンター試験利用と比べると合格最低点がやや低めなのが特徴です。

センター試験利用(単独)

私立大学の一般入試には、「センター利用」という方式の受験パターンがあります。

正しくは「センター試験利用入試」ですが、センター試験の得点を利用して複数の大学・学部・学科を受験できます

二次(個別)試験は行われない場合がほとんどです。

センター試験を受験するだけで、複数の大学・学部・学科に出願できるため、国公立大学の志願者が併願し易い仕組みになっています。

ただし、併願し易い反面、募集定員が少ないことから、一般入試より難易度や倍率が高くなる傾向にあります。

センター試験利用(併用)

上記の2つ、「一般入試」と「センター利用」を併用するタイプの受験方法です。

合計点で判断することもあれば、点数の高い方が採用されるケースもあるため、当日の試験で特定の科目の得点が思うようにとれなかった場合の保険的な役割や試験日程が重なった場合に受験し易い仕組みになっています。